先輩の紹介で職にありついたのはいいけれど
自分は何がやりたいか、悩み続けた20代。
常に何かに追い立てられているような心境で、
乱雑に駆け巡った。苦しかった。
峠を越えると一本道が広がった。
一気に見晴らすことができた。
永遠に続くかとも思った。
でもそれはあくまでも一時的なもので、
その先には、分かれ道があった。
何ができるのか、考え続けた30代。
自分は何者なのか少しは知る。
越えても越えても先の見えない尾根の数々。
ある日、肉体がついていけそうもなくなった。
そうなると精神も弱り果てた。
それでも薮を越えて行った。
ひとつの薮を越えると、人がいた。
がんばって気をつけていけ、と励ましてくれる。
泣いてしまったら少しでも楽になれるだろうが、
涙は流れなかった。
それでも歩きはじめると今度は小さな木の根っこにつまづいた。
根っこを恨んで踏みつけた。
自分の足が痛くなった。
小さな木を見上げた。
緑の葉が生い茂っていて木漏れ日が差している。
しっかり根が張り、短いけれど幹はたくましく、
葉々がかさかさ鳴っている。
うらやましかった。
自分の根っこは張っている最中だと思った。
自分の幹はまだ曲がっていた。
自分の葉は所々にしかついていなかった。
何をやるべきか。
本日40歳。二度目の二十歳。
まずは、根っこの母親に感謝を伝えよう。
すると家族や友という葉がかさかさと喜ぶのだ。
そして自分という幹がほんのちょっとだけ太くなるのだと思う。
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